FXにおけるロスカットとは、損失拡大を防ぐために強制決済されるシステムのこと
ロスカットとは、現時点での予想される損失(含み損)が決められた一定の限度を超えてしまった際に、強制的に決済される仕組みのこと。FX業者に預けた証拠金以上の大幅な損失が出てしまわないように考案されたものです。
FXでは、比較的少ない証拠金でも多額のお金を運用できます。たとえば1ドル=100円のときにレバレッジ25倍で取引する場合、2万ドルのポジションを得るのに必要な金額は8万円のみです。しかし当然、相場が予想とは違う方向に進んでしまえば、損失は膨らんでしまいます。そこで、定められた証拠金維持率(ポジション獲得に必要な現時点での証拠金額に対する、現在の純資産額の割合)を下回ったときに、強制的に取引を停止して決済してしまうロスカットの仕組みが必要なのです。
規定の証拠金維持率はFX会社によって異なるので、事前に自分が利用している業者の設定値を確認しておくのがおすすめです。
ロスカットの具体的な流れって?
それでは、ロスカットは具体的にどのような流れで発動されるのでしょうか?一緒に例を用いて考えてみましょう。
最初にあなたは、FX業者に全部で10万円を預けてFXを始めたとします。そして、1ドル=100円のときに、レバレッジ25倍で2万ドルを買いました。このとき必要な金額は8万円ということになりますよね。
さて、1週間後、予想に反してドルが下落し、1ドル=97円になってしまいました。購入時と比べると3円値下がりしたことになるので、この時点での損失額は6万円となります。最初に預けたのは10万円なので、現在の純資産は4万円です。
現時点で2万ドルのポジション獲得に必要な金額は、1ドル=97円(かつレバレッジ25倍)なので、77,600円。残った純資産額をこの77,600円で割ると、約51.5%になりますね。これが証拠金維持率です。もしあなたが使っているFX会社が、ロスカット発動の条件を証拠金維持率60%以下と定めていたとすると、この時点で(証拠金維持率が51.5%なので)取引は強制終了となり、自動的に決済が行われます。
ロスカットは万能ではないことに注意
ここで心に留めておきたいのが、「ロスカットは万能ではない」ということ。「ロスカットがあるから安心!」と、一概に断言はできません。
たとえば為替相場が何らかの要因で急激に変動した場合、売り注文が殺到し、強制ロスカットが発動されても規定額で約定できない可能性があります。そうするとFX会社のシステムは再度注文し直すことになるのですが、この間にさらに相場が下がってしまうと、結果としてもっと不利なレートで約定されることとなり、損失が膨れ上がってしまうということもあり得るわけです。
このケースでは、預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性も決してゼロではありません。ですから、常にある程度資金に余裕を持ってトレードするように心掛けることが大切です。
ロスカットについてのまとめ
FXの基礎用語のひとつである「ロスカット」。今回は、ロスカットの意味や概要についてご説明しました。最後に、ここまでの要点をまとめてみます。
- ロスカットとは、規定の証拠金維持率を下回ったときに強制決済されるシステムのこと
- ロスカットの条件はFX会社によって異なるので、事前確認が必要
- ロスカットがあっても証拠金以上の損失が出るリスクはゼロではないので注意
FXとついて、あまり詳しくない方は「リスクが大きすぎて危ないのでは?」と誤解してしまいがちです。しかし多くのFX業者でロスカット制度が導入されているので、過度に心配する必要はないのです。ぜひロスカットの仕組みや注意点をよく理解した上で、FXトレードに積極的にチャレンジしてみてください!