国内総生産(GDP)とは何か?
国内総生産(GDP)とは、一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額のこと
国内総生産(略称はGDP)とは、一言で言えば「一定期間内に、ある国の中で生み出された付加価値の総額」のことです。ただ、これだけだと何のことだかいまいち分かりませんね。
付加価値とは?
そもそも、「付加価値」って何でしょうか?まずは「付加価値」について、例を用いて考えてみましょう。
たとえば、とある農家が小麦を栽培して小麦粉を作り、パンメーカーに30円で売ったとします。パンメーカーはそれを加工して菓子パンにし、80円でスーパーに卸しました。そしてスーパーは、100円でその菓子パンを販売し、無事にお客さんに買ってもらうことができました。
この例の場合、まず農家はゼロから小麦粉を生み出したわけなので、この農家が生み出したプラスアルファの価値、すなわち付加価値は30円ですよね。
次に、パンメーカーは30円で仕入れた小麦粉で80円の菓子パンを作ったので、このパンメーカーが生み出した付加価値は、「80円-30円」で50円。
最後にスーパーは80円で仕入れた菓子パンを100円で販売したので、このスーパーが生み出した付加価値は「100円-80円」で20円となります。
農家、パンメーカー、スーパーの生み出した付加価値を合計すると、「30円+50円+20円=100円」に(最終的な小売価格と一致します)。
このように、その国のあらゆる経済活動の中で生み出された付加価値をすべて足していった総額が、「国内総生産(GDP)」になるのです。
実質GDPと名目GDPって?
経済のニュースで時々耳にするのが、「実質GDP」と「名目GDP」というキーワードです。この2つは、一体何を意味するのでしょうか?
実質GDPと名目GDPについて理解するには、「物価」について考える必要があります。
物価とは?
物価というのは、その名の通り「モノの価格」のこと。物価は経済の状況や景気に合わせて常に変動しています。
やや極端な例ですが、たとえば昭和真っ只中の1960年代などには、大卒初任給が5万円にも満たない時代もありました。その当時の物価と今の物価は当然まったく違うので、この2つの時代のGDPをそのまま比較しても、あまり参考になりませんよね。
物価とGDP
もうひとつの例でも、物価とGDPについて考えてみましょう。仮にある企業の10年前の儲けが1億円で、今年の儲けもまったく同じ1億円だったとします。一見、この企業の成長は10年間で横ばいのように見えますよね。しかし、この10年間でその国の物価が15%下落していたとしたらどうでしょうか。儲けの額は同じでも、物価がこの間に15%も下がっているので、実質的にはこの企業は15%成長したことになります。
さて、このように、物価は時代や景気に合わせて変化するので、その変動を考慮しておかないと、実際のGDPの価値や成長度がはっきり分かりません。
そこで物価変動の影響まで計算に入れる指標が考案されました。これが、「実質GDP」です。
一方、物価変動率はまったく考慮に入れず、そのまま額面通りに付加価値の総額を出したものが「名目GDP」になります。
投資などの世界では、実質的な経済成長率が明確に分かる「実質GDP」の数値のほうが重要視されるのが普通です。
国内総生産(GDP)についてのまとめ
それでは最後に、この記事で重要なポイントを、リスト形式でまとめてみましょう。
- 国内総生産(GDP)とは、ある一定期間内にその国で生み出された付加価値の総額
- 物価変動の影響まで計算に入れたものを「実質GDP」、物価変動を考慮せずに額面通り計算したものを「名目GDP」と呼ぶ
- 投資の世界では一般的に、実質GDPの数値のほうが注目される
国内総生産(GDP)は、経済について理解する上でとても大切になる、必須用語のひとつです。もちろんFX取引を行う上でも必要な知識になります。ぜひこの記事をよく読んで、国内総生産(GDP)の基礎をしっかりマスターしておいてくださいね。